面接や職業訓練の間の一時保育代、雇用保険から出ることがある|求職活動関係役務利用費を整理

面接、決まったのに……子どもの預け先が見つかりません。一時保育もベビーシッターも、こんなに高いなんて。どうしよう。
その一時保育代、要件を満たせば雇用保険から費用の80%(1日6,400円が上限)が出ることがあります。「求職活動関係役務利用費」という制度です。名前のとおり分かりにくいので、知らない人がほとんどだと思います。
面接や職業相談、職業訓練の受講のたびに一時保育代・ベビーシッター代がかかる——このコスト構造そのものを、我慢するしかないと思い込んでいる人は多いはずです。実は、雇用保険の給付の中に、この費用の一部を補助する制度があります。「求職活動関係役務利用費」という名前で、平成29年(2017年)1月に創設されました。
この記事は厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレットと、厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」(第4 求職活動関係役務利用費)にもとづいて整理しています(根拠法令:雇用保険法第59条第1項第3号、同法施行規則第100条の6〔支給要件〕・第100条の7〔支給額の算定〕)。自分が実際に対象になるかどうか、支給額の最終的な計算は、お住まいの地域を管轄するハローワークの判断によります。この記事の使い方
この制度は、名前だけでは何の制度か想像がつかないうえ、対象事由・対象サービス・支給要件が細かく分かれています。この記事では、①こういう制度があるという事実、②対象になる場面・保育サービス、③支給要件(待期期間など)、④支給額、⑤対象者の範囲を、厚生労働省の一次資料にもとづいて整理します。それでも、自分が実際に対象になるかどうかの最終判断は、お住まいの地域を管轄するハローワークが行います。
そもそも、こんな制度があります
雇用保険には、求職活動そのものにかかる費用を補助する「就職促進給付」という枠組みがあり、その中に、面接や職業訓練受講のために子どもの保育サービスを利用した場合の費用を補助する制度があります。
「求職活動関係役務利用費」とは、雇用保険の受給資格者等が、平成29年1月以降に、求人者との面接や公共職業訓練等を受講するため、子のための保育等サービスを利用した場合に、その利用のために負担した費用の一部を支給する制度です。
出典:厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレット
ここだけは押さえる
- 面接や職業訓練受講のために保育等サービスを利用した費用の一部が、雇用保険から補助される制度が実在する。
- 支給額は、本人負担額の80%(1日あたり6,400円が上限)。
- 上限日数は、面接等での利用は15日、職業訓練受講中の利用は60日。
- ただし、雇用保険の待期期間が明けてから利用したサービスであることが条件。
- 対象者は、基本手当・高年齢・特例・日雇のいずれかの受給資格者。
支給要件:待期期間が明けてから利用したサービスであること
この制度の対象になるには、雇用保険の待期期間が経過した後に保育等サービスを利用したことが条件になっています。待期期間中に一時保育やベビーシッターを利用しても、その分の費用は対象になりません。
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費
離職直後の保育利用は対象外になりうる
待期期間の具体的な日数は、この記事では一次資料の該当箇所を確認しきれていません。ハローワークで求職の申込みをした直後に保育サービスを利用する予定がある場合は特に、「今使う分は対象になるか」を先にハローワークへ確認することを勧めます。
対象になる場面と、上限日数
対象になる場面(対象事由)は、面接等が5つ、職業訓練受講等が4つに分かれています。
面接等(上限15日)
- 求人者との面接
- 求人者が行う筆記試験の受験
- ハローワーク等での職業相談・職業紹介
- 公的機関等が行う求職活動指導(各種講習等)
- 個別相談が可能な企業説明会
職業訓練受講等(上限60日)
- 公共職業訓練等の受講
- 求職者支援訓練の受講
- 各種養成施設への入校
- 教育訓練給付の対象訓練等の受講
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費
面接1回だけでなく、筆記試験の受験、職業相談・職業紹介、公的機関の求職活動指導、個別相談ができるタイプの企業説明会も対象に含まれています。「面接のときだけ使える制度」だと思い込んでいると、他の場面での保育費を自腹で払い続けてしまうことになります。
対象になる保育等サービスの例
対象になる保育等サービスは、児童福祉法・子ども子育て支援法上の次のような事業です。
- 保育所
- 認定こども園
- 家庭的保育事業・小規模保育事業・居宅訪問型保育事業・事業所内保育事業(家庭的保育事業等)
- 延長保育事業
- 放課後児童健全育成事業
- 子育て短期支援事業
- 一時預かり事業
- 病児保育事業
- 子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)
- ひとり親家庭日常生活支援事業
- 乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)
- 企業主導型保育事業等(児童福祉法第59条の2第1項の施設が行う保育事業)
- 国・都道府県・市町村が設置する一部施設の保育事業
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費
「ベビーシッター全般」が対象になるわけではない
上記のうち、自宅に来てもらう形の保育に一番近いのは「居宅訪問型保育事業」です。これは児童福祉法上の位置づけを持つ訪問型保育事業で、市区町村の認可・確認を受けた事業者による保育を指します。フリーランスのベビーシッターや、個人間でやり取りするベビーシッターサービス全般を指すものではありません。利用予定のサービスがこの制度の対象に含まれるかどうかは、事業者名を伝えたうえでハローワークに確認してください。
支給額:費用の80%、1日6,400円が上限
保育等サービスの利用のために本人が負担した費用(保育等サービス利用費)について、80%が支給されます。1日あたりの支給上限額は6,400円です。
「保育等サービス利用のために本人が負担した費用(保育等サービス利用費)の80%を支給します(1日あたりの支給上限額6,400円)。」
出典:厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレット、厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費
支給額の実際の計算(利用日数×上限日数、端数の扱いなど)は、この記事では一次資料の細部まで確認しきれていません。正確な金額は、申請時にハローワークで確認してください。
対象者:基本手当・高年齢・特例・日雇の4種類の受給資格者
この制度の対象は、雇用保険の次の4種類の受給資格者です。
- 基本手当の受給資格者
- 高年齢受給資格者
- 特例受給資格者
- 日雇受給資格者
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費
いずれに該当するかは、雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)で確認できます。手元にない場合や、自分がどの区分に当たるか分からない場合は、ハローワークの窓口で確認してください。
申請期限:区分によって異なる
申請期限は、対象者の区分によって異なります。
- 高年齢受給資格者・特例受給資格者・日雇受給資格者:保育等サービスを利用した日の翌日から起算して4か月以内に申請します。
- 基本手当の受給資格者:利用の都度ではなく、失業の認定日に、認定対象期間分をまとめて提出します。ただし、公共職業訓練等の受講期間中に利用した分は、原則として利用した月の翌暦月中に提出する例外があります。
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費(57981ページ)
必要書類:該当するものをそろえる
申請時に必要になる書類は、次の8点です(該当するものだけをそろえます)。
- 雇用保険受給資格者証等(受給資格を確認できる書類)
- 保育等サービス利用費の領収書
- 保育等サービス利用証明書
- 返還金明細書(利用料の値引きなどがあった場合)
- 面接証明書等(面接等での利用の場合)
- 教育訓練受講証明書等(教育訓練受講の場合)
- 住民票記載事項証明書等
- 第三者からの補助を受けている場合の証明書
出典:厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレット(2ページ)
なぜ、この制度は知られていないのか
編集部は、主に次の3点が理由だと考えています。
- 制度名に「保育」「子育て」の語が一切入っていない。 「求職活動関係役務利用費」という名前から、保育サービス代の補助だと想像できる人はほとんどいないはずです。
- 雇用保険の給付一覧の中で、目立つ位置に置かれていない。 失業給付(基本手当)や再就職手当のような主要な給付の陰に隠れがちです。
- 「面接や訓練のための一時的な保育利用」に対象が限定されており、日常の保育料補助(保育園の利用料そのもの)と混同されやすい。
面接や職業訓練を受けるたびに一時保育代を全額自己負担しているとしたら、それは知らなかったことによる機会損失かもしれません。「そんな制度、聞いたことがない」のは当然です。設計そのものが気づきにくい形になっています。
面接・訓練の予定が決まったら、まず何をするか
面接・企業説明会・職業訓練の予定が決まったら、先に管轄のハローワークへ「求職活動関係役務利用費の対象になるか」を確認する。 電話での問い合わせでも構いません。特に離職・求職の申込み直後は、雇用保険の待期期間が明けているかどうかで対象になるかが変わるため、早い段階で確認しておくと安心です。
対象になりそうなら、利用予定の保育サービスがこの制度の対象事業(保育所・一時預かり事業・ファミリー・サポート・センター事業・居宅訪問型保育事業など)に当たるかも、あわせて確認する。 特にベビーシッターの場合、事業者が「居宅訪問型保育事業」としての要件を満たしているかどうかが分かれ目になるため、事業者名を伝えて確認しておくと安心です。
保育サービスの利用料がわかる領収書と、保育等サービス利用証明書を保管しておく。 このほか、面接証明書や教育訓練受講証明書、住民票記載事項証明書なども申請時に必要です。該当する書類は上記「必要書類」の一覧を参照し、揃っているか事前に確認しておきます。
自分の受給資格の区分に応じた期限内に申請する。 高年齢・特例・日雇受給資格者は、保育等サービスを利用した日の翌日から4か月以内。基本手当の受給資格者は、失業の認定日にまとめて提出します。区分が分からない場合や、公共職業訓練受講中の例外に当たるか迷う場合は、ハローワークに確認してください。
編集部の判断: この制度は「使った後に対象外だと分かる」より「先に聞いて動く」ほうが確実だと考えます。対象になる保育サービスの範囲や待期期間の要件は自分だけでは判断しきれません。予定が決まった時点で、一度ハローワークに聞いてみることを編集部としてはお勧めします。
子育て中の転職活動、他にも使える情報
求職活動中の相談先としては、子育て中の求職者を対象にした公的な窓口「マザーズハローワーク」もあります。ブランクの伝え方とあわせて、こちらで紹介しています。

転職後に産休・育休・時短勤務がいつから使えるかは、また別の制度・条件になります。あわせて確認しておくと、転職前に確認すべき点がはっきりします。

エージェントを使って転職活動を進める場合、働き方の希望や子育てとの両立をどう伝えるかも合わせて相談できます。

まとめ
面接や職業訓練受講のために保育等サービスを利用した費用は、要件を満たせば雇用保険から80%(1日6,400円が上限)補助される場合があります——「求職活動関係役務利用費」という制度です。対象になる場面は面接等が5類型(上限15日)、職業訓練受講等が4類型(上限60日)に分かれており、対象になる保育サービスも保育所・一時預かり事業・ファミリー・サポート・センター事業・居宅訪問型保育事業など多岐にわたります。ただし、雇用保険の待期期間が明けてから利用したサービスであることが条件になっている点には注意が必要です。
自分が対象者(基本手当・高年齢・特例・日雇のいずれかの受給資格者)に当たるかどうか、実際の支給額の計算は、この記事だけでは確定できません。それでも、「そもそもこういう制度がある」ということ自体を知らなければ、ハローワークに聞くという選択肢すら生まれません。 まずは、次の面接や職業訓練の予定が決まった時点で、一度ハローワークに確認してみることをお勧めします。
※本記事は厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレットおよび厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」(第4 求職活動関係役務利用費)をもとに、制度概要を一般的に整理したものであり、個別の該当判定・支給額を保証するものではありません。待期期間の具体的な日数は、この記事では一次情報を確認できていません。必ずお住まいの地域を管轄するハローワークで最新の内容をご確認ください。 ※本記事はアフィリエイトリンクを含みません。
この記事の基準日・出典(公的機関)
- 根拠法令:雇用保険法第59条第1項第3号、雇用保険法施行規則第100条の6(支給要件)・第100条の7(支給額の算定)
- 制度の創設時期:平成29年(2017年)1月
- 記事の内容基準日:下記資料の確認時点の内容
- 最終確認日:2026年8月19日
- 厚生労働省「求職活動関係役務利用費のご案内」リーフレット
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 求職活動関係役務利用費(57951〜57990ページ、2026年4月改訂版)